古楽亭日乗
2023-12-20T10:19:24+09:00
takashikaketa
チェリスト 懸田貴嗣の備忘録
Excite Blog
Takashi KAKETA 懸田 貴嗣(チェロ violoncello) プロフィール
http://lanzetti.exblog.jp/10246620/
2023-11-13T08:44:00+09:00
2023-12-20T10:19:24+09:00
2009-01-30T21:30:06+09:00
takashikaketa
Curriculum プロフィール
バロックから古典派の音楽を中心に、日本とヨーロッパで活動しております。
懸田 貴嗣 KAKETA Takashi チェリスト、cellist プロフィール/Curriculum
ご質問・ご依頼等はこちら takashikaketa@gmail.com
福島県二本松市生まれ。上智大学文学部ドイツ文学科卒業。
東京芸術大学音楽学部別科チェロ専攻修了後、東京芸術大学院音楽研究科修士課程古楽専攻修了。
文化庁在外派遣研修員としてミラノ市立音楽院古楽科で学ぶ。
修士論文テーマは「C.P.E.バッハのチェロ協奏曲」(指導教官:久保田慶一教授)。
チェロをガエタノ・ナジッロ、鈴木秀美、藤森亮一、北本秀樹の各氏に師事。2004年イタリア・ボンポルティ国際古楽コンクール(審査委員長:グスタフ・レオンハルト)で、4人のトリオ・ソナタ・グループ「リクレアツィオン・ダルカディア」のメンバーとして、第1位と聴衆賞、及びORF(オーストリア国営放送)録音賞を受賞。本選の模様はイタリアとORFラジオで放送された。
日本では、バッハ・コレギウム・ジャパン、オーケストラ・リベラ・クラシカ(鈴木秀美指揮)、レ・ボレアード(寺神戸亮指揮)、東京バッハ・モーツァルト・オーケストラ(有田正広指揮)、ヘンデル・フェスティバル・ジャパン、ザ・バロック・バンド(渡邊順生指揮)、札幌古楽の夏音楽祭、福岡古楽祭、北とぴあ国際音楽祭など国内の主要な古楽オーケストラ、音楽祭のコンサート、レコーディングに参加。
2005年以降ヨーロッパでも活動を始め、リクレアツィオン・ダルカディア、ラ・ヴェネシアーナ(クラウディオ・カヴィーナ指揮)、イル・コンプレッソ・バロッコ(アラン・カーティス指揮)、種々のアンサンブル・メンバーとして、イタリア、イギリス、ドイツ、フランス、スペイン、オーストリア、ポルトガル、ポーランド、ロシア、スロヴェニア、ルーマニア、トルコ、メキシコ、韓国など世界中の音楽祭に招かれているほか、ヨーロッパ各地で演奏活動を行っている。2008年オーストリア放送(ORF)ラジオ生放送に出演。
近年はC.P.E.バッハのチェロ協奏曲やL.レーオのチェロ協奏曲を札幌で北海道教育大学岩見沢校チェンバーオーケストラ、福岡でコンセール・エクラタン福岡と共演し、大きな話題となった。2019年は韓国・春川国際古楽祭で自ら編成したアンサンブル・パルテノペで、「London 1730'」というテーマのコンサートをプログラミングし、ポルポラのコンチェルトを演奏、大きな喝采を受けた。
ボッケリーニの弦楽三重奏曲全曲ツィクルスを企画・演奏(ボッケリーニ・プロジェクト2017~2023)、寺神戸亮、原田陽とのトリオ(日本モーツァルト協会、調布音楽祭)、重岡麻衣、原田陽とのピアノ・トリオ(旅するベートーヴェン)、クァルテット・オチェーアノなど室内楽分野でも、精力的な活動を行っており、プログラミングや企画力も大きく評価されている。2021年年末に企画・主催した「ガット弦によるブラームス 弦楽六重奏曲」公演は、その公演評が朝日新聞にも掲載された。
2020年から西麻布・霞町音楽堂バロック・シリーズにて、チェロの歴史をたどるコンサートシリーズを企画構成し、定期的に公演を行っている。
これまで出演した世界の主要なホール、劇場、音楽祭:
アムステルダム・コンセルトヘボウ、ウィーン・アン・デア・ウィーン劇場、マドリード・レアル劇場、パリ・シャンゼリゼ劇場、パリ・シテドラムジーク、ドイツ・レーゲンスブルク音楽祭、ハレ・ヘンデル音楽祭、オーストリア・グラーツ・シュティリアルテ音楽祭、オーストリア・メルク古楽音楽祭、ザンクト・フローリアン修道院、スイス・ザンクト・ガレン、フリブール宗教音楽祭、ロンドン・ルフトハンザ音楽祭、イタリア・ヴィテルボ音楽祭、ロシア・ロストロポーヴィチ国際音楽祭、メキシコ・セルバンテス音楽祭、トルコ・イスタンブール、ルーマニア・エネスコ音楽祭、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン、韓国春川国際古楽祭など
これまで通奏低音奏者として、モーツァルト「コシ・ファン・トゥッテ」(ルイゾッティ指揮、サントリーホール・オペラ)、ハイドン「騎士オルランド」、モーツァルト「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」(寺神戸亮指揮北とぴあ音楽祭)、パーセル「妖精の女王」(北とぴあ音楽祭)、リュリ「アルミ―ド」、シャルパンティエ「病は気から」(北とぴあ音楽祭)、ラモー「レ・ボレアード」「プラテー」「優雅なインドの国々」、ヘンデルの「エジプトのジューリオ・チェーザレ」「リナルド」「アルチーナ」「タメルラーノ」「ベレニーチェ」「アリオダンテ」「アグリッピーナ」「エイシスとガラテア」「復活」「ヘラクレスの選択」「ヘラクレス」「サウル」「アレクサンダーの饗宴」「イェフタ」「ベルシャザル」「テオドーラ」「ソロモン」「ヨシュア」「セメレ」「メサイア」、バッハによる「マタイ受難曲」、「ヨハネ受難曲」、「ミサ曲ロ短調」、「クリスマス・オラトリオ」、カンタータなど数多くの作品に関わった。特にモンテヴェルディ作品で世界的に評価の高いイタリアのグループ「ラ・ヴェネシアーナ」とのモンテヴェルディ「オルフェオ」、「ポッペアの戴冠」、「ウリッセの帰還」、「聖母マリアの夕べの祈り」、A.スカルラッティ、ストラデッラによる数々のオラトリオ、セレナータ、カンタータのヨーロッパ各地の上演では高い評価を得ている。これまで関わったCD録音はEMI/Virgin、ORF、Glossa、BIS、 OMF、コジマ録音、TDK CORE(現Creative Core)、DENON、マイスター・レコードなど多くのレーベルに渡る。
エンリコ・オノフリ、エンリコ・ガッティ、サイモン・スタンディジ、グナール・レツボール、ガエタノ・ナジッロ、ミカラ・ペトリ、アレッサンドロ・パルメリ、バーバラ・ヘンドリクス、エマ・カークビー、ロベルタ・マメリなど海外の著名な演奏家との共演も数多い。
2011年8月NHK-FM名曲リサイタルに出演。2011年10月のエンリコ・オノフリ with チパンゴ・コンソート(室内楽&オーケストラ)の2公演では大反響を呼び、CDジャーナル、モーストリー・クラシック、音楽の友、などの音楽関係各誌上において年間ベスト10やベスト5のコンサートとして選出されるなどした。2013年3月のエンリコ・オノフリ with チパンゴ・コンソートは、NHK-BS「クラシック倶楽部」、NHK-FMで放送され、大きく話題となった。2018年市川海老蔵主演による歌舞伎座「源氏物語」公演にて洋楽を担当。
2020年7月には2日連続でNHK-FM「古楽の楽しみ」ゲスト解説者として出演、チェロの独奏作品、声楽とチェロ・オブリガート作品を紹介、大きな反響を得た。
主な放送出演など:
2004年 ボンポルティ国際古楽コンクール本選放送(イタリア、オーストリアORF)
2009年 NHK-BS「クラシック倶楽部」アンサンブル・ジェネシス「光と影」
2011年 NHK-FM「名曲リサイタル」リクレアツィオン・ダルカディア
2013年 NHK-BS「クラシック倶楽部」、NHK-FM エンリコ・オノフリ with チパンゴ・コンソート
2013年 NHK Eテレ「らららクラシック」”G線上のアリア”
2014年 NHK-FM「ベストオブクラシック」アンサンブル・ジェネシス/ヴェネツィアの歌う庭~ヴィヴァルディ・細川俊夫の世界~
2015年 NHK Eテレ「ニューイヤーオペラコンサート」 バッハ・コレギウム・ジャパン
2015年 NHK-BS「クラシック倶楽部」、NHK-FM「ベストオブクラシック」ロベルタ・マメリ&ラ・ヴェネシアーナ
2015年 NHK Eテレ「バッハ/ミサ曲ロ短調」 バッハ・コレギウム・ジャパン
2016年 NHK-BS「ジャパン・オルフェオ」
2020年 NHK-FM「古楽の楽しみ」7月30日/31日 ゲスト解説者として出演
2022年 テレビ朝日「題名のない音楽会」 バッハ・コレギウム・ジャパン
その他 ヨーロッパのラ・ヴェネシアーナ公演の公演収録、中継多数
2012年9月に「ランゼッティ/チェロ・ソナタ集」(ALCD-1131)をリリース、音楽の友、CDジャーナル等音楽誌上で話題となり、高い評価を受けた。当ディスクは平成24年度(第67回)文化庁芸術祭レコード部門優秀賞を受賞。
2014年2月に発売された「ステッファーニ/2声のための室内カンタータ集」(ALM-1143)はレコード芸術特選盤となり、「さらに通奏低音の見事さも特筆しておきたい。なかでも懸田貴嗣のチェロが、声を伸びやかに聞かせ、支え、音楽を膨らませる」(レコ芸・美山良夫)、「器楽では特に、チェロの懸田貴嗣の奥行きある好演が光っている(ぶらあぼ・寺西肇)と高い評価を受けた。
「通奏低音奏者として日本の古楽シーンに欠かせない存在」(音楽の友誌2016年10月号)など通奏低音奏者としての評価は近年ますます高まっている。
主なディスコグラフィー:
2005年 ボッケリーニ 弦楽五重奏曲集 ARTE DELL'ARCO JAPAN
2009年 La Meraviglia Parlante テアトルム・アフェクトゥム
2012年 ランゼッティ/チェロ・ソナタ集 懸田貴嗣/渡邊孝 コジマ録音 ALCD-1131
2013年 ジャン=マリー・ルクレールの肖像 リクレアツィオン・ダルカディア コジマ録音 ALCD-1134
2014年 ステッファーニ/2声のための室内カンタータ集 阿部早希子/ファンタジアス コジマ録音 ALM-1143
2014年 チャッコーナ マイスター・ミュージック 宮崎蓉子/懸田貴嗣ほか
2015年 波多野睦美/イタリア歌曲集 波多野睦美/西山まりえ/懸田貴嗣ほか ソネットレーベル MHS-004
2015年 バルダッサーレ・ガルッピ:6つのトリオ・ソナタ [ウプサラ大学図書館イーム・コレクションによる] リクレアツィオン・ダルカディア コジマ録音 ALCD-1155
2018年 聖アポリナーレ教会のレクツィオ 山内房子、朝吹 園子、吉田爽子、懸田貴嗣、桑形亜樹子 コジマ録音 ALCD-1173
2019年 G. B. ヴィヴィアーニ :教会と室内のためのカプリッチョ・アルモニコ 朝吹園子、西山まりえ、懸田貴嗣 OMF KCD-2075(CD) KDC-2075(配信)
2020年 J・S・バッハ: チェンバロ協奏曲全集[Vol.1] 渡邊順生 ザ・バロック・バンド ALCD-1197-1198
2020年 J・S・バッハ: チェンバロ協奏曲全集[Vol.2] 渡邊順生 ザ・バロック・バンドALCD-1199-1200
2021年 愛のリコーダー ルネサンスとバロック期のイタリア・リコーダー音楽 浅井愛 懸田貴嗣 その他 ALCD-1204
2021年 Il Violoncello di Corelli Alessandro Palmeri, Riccardo Doni, Takashi KAKETA passacaille, Belgium
2021年 クァルテット・オチェーアノ|A. ギロヴェッツ 3つの弦楽四重奏曲 作品42 (廣海史帆、大鹿由希、伴野剛、懸田貴嗣)KCD-2093(CD) KDC-2093(配信)
2023年 バッハ × ピアソラ(平野智美、長岡聡季、大光嘉理人、吉田篤、懸田貴嗣、西澤誠治) ALCD-9243
その他、ラ・ヴェネシアーナ、バッハ・コレギウム・ジャパン、オーケストラ・リベラ・クラシカ等グループのメンバーとして多数のCDに参加。
バロック・チェロの歴史とレパートリーについて研究を進めており、ワークショップやレクチャーも行っている。
2014年2月の上野学園古楽器コレクション Museumコンサートでは、バロック期チェロの初期レパートリーから後期までの作品をプログラミング、解説とともに演奏を行い、各方面から高い評価を受けた。2015年にはNOTH主催の講座で「チェロの歴史」、2016年には日本チェンバロ協会例会でコレッリのソナタをテーマに通奏低音の講座を担当した。
2017年度は北海道教育大学岩見沢校特任准教授、近年、東京、福岡、大阪でマスタークラスを開講するなど、教育活動にも熱心に取り組んでいる。チェロによる通奏低音についてのレクチャーや講義も行っている。
2021年 EX NOVO オンライン講座 vol.4 『チェロの誕生とその歴史 1665−1750』は大きな反響を得た。
2021年~現在 下田国際音楽コンクール審査員。
2023年 第34回国際古楽コンクール山梨審査員
インタビュー等:
2013年4月 クラシック・ニュース http://classicnews.jp/interview/index825.html
2013年10月 林田直樹「カフェ・フィガロ」http://www.blue-radio.com/program/cafe/
2014年10月 ラ・ヴェネシアーナ日本ツアープログラム誌掲載・インタビュー
文章執筆・発表など:
2004年 アントレ誌 ボンポルティ国際コンクール報告記
2011年 アントレ誌 エッセイ
2012年 CDジャーナル誌10月号「秋の夜長のバロック・チェロ」
2015年 横浜シンフォニエッタ定期公演プログラム解説(ショスタコーヴィチ)
2015年 東京・春・音楽祭 公式プログラム 「チェロの誕生」
2016年 CDブックレット 日本語解説 B.コクセ「チェロの歴史 さまざまに」 Alpha
2017年 CDブックレット アンドレ・ナヴァラ ライブ・イン・東京 解説「アンドレ・ナヴァラの生涯」 Tokyo FM
2017年 CDブックレット 日本語解説(抄訳) オットボーニ枢機卿とイタリア後期バロックのチェロ音楽さまざま マルコ・チェッカート(バロック・チェロ) アカデミア・オットボーニ ALPHA368
2018年 東京・春・音楽祭 公式プログラム 「フランドル楽派」
2020年 サラサーテ 2020年8月号 「チェロの100年史」書評
2022年 東京・春・音楽祭 公式プログラム 「ヴィヴァルディのチェロ・ソナタ」
これまで雑誌、プログラムに発表した文章はこちらのリンクまで。 https://note.mu/takashikaketa
ラ・ヴェネシアーナ(イタリア)、リクレアツィオン・ダルカディア、アンサンブル・パルテノペ(主宰)、バッハ・コレギウム・ジャパン、オーケストラ・リベラ・クラシカ、クァルテット・オチェーアノ、アンサンブル・ジェネシス、横浜シンフォニエッタ、テアトゥルム・アフェクトゥム(ドイツ)のメンバー。日本イタリア古楽協会運営委員。
2017年度北海道教育大学岩見沢校音楽文化専攻特任准教授
(2023.5.24)
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真夏のヴィヴァルディ&真冬のヴィヴァルディ
http://lanzetti.exblog.jp/32941441/
2023-02-08T09:50:00+09:00
2023-02-08T09:50:13+09:00
2023-02-08T09:50:13+09:00
takashikaketa
Diario 記録
真夏または真冬のヴィヴァルディ
新倉瞳&懸田貴嗣&佐藤芳明
2022年8月24日(水)福島・二本松市コンサートホール2023年1月31日(火)日暮里サニーホール
A.ヴィヴァルディ(1678-1741)「さあ 御母よ、愛の泉よ」 スターバト・マーテル RV621よりチェロと通奏低音のためのソナタ第3番 イ短調 RV43チェロと通奏低音のためのソナタ 第5番 ホ短調 RV40チェロと通奏低音のためのソナタ第9番 ト短調 RV42
2つのチェロのための協奏曲 ト短調 RV531
G.B.ヴィターリ(1632-1692):トッカータ&ルッジェーロ
D.ガブリエッリ(1659-1690):2つのチェロのためのカノン
G.コロンビ(1645-1694):チャッコーナのバスによるパルティータ
佐藤芳明:2つの楽器のための2つのカノン「寛容」「琢磨」
新倉瞳:Ciacoona
クレズマー/ユダヤ伝承音楽:Nign(ニグン)
G.F.ヘンデル(1685-1759):アルマンド/クーラント 組曲HWV452より
新倉瞳(バロック・チェロ) 懸田貴嗣(バロック・チェロ)佐藤芳明(アコーディオン)
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17~18世紀イタリアにおけるチェロの歴史をたどる連続コンサート
http://lanzetti.exblog.jp/32097092/
2021-01-12T09:52:00+09:00
2022-05-23T12:31:10+09:00
2021-01-12T09:52:51+09:00
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Concerti コンサート
第1回は「ボローニャからナポリへの旅」と題して、「violoncello チェロという楽器の名が初めて現れたボローニャの初期作品からローマ、ナポリへと南進して、各地の作曲家の作品をたどるプログラムです。
第1回 ボローニャからナポリへの旅 Viaggio da Bologna a Napoli
D.ガブリエッリ DomenicoGabrielli (1651-1690)
2台のチェロのためのカノンCanon per due violoncelli
チェロの通奏低音のためのソナタ ト長調 Sonataper violoncello e basso Sol maggiore
P.G.ボーニ PietroGiuseppe Gaetano Boni (1686 - 1741) チェロ・ソナタ ヘ長調Op. 1-8 Sonata per violoncello Famaggiore Op. 1-8
G.B.コスタンツィ GiovanniBattista Costanzi (1704-1778)
チェロと通奏低音のためのソナタ ヘ長調 Sonataper violoncello e basso Fa maggiore
F.スプリアーニ FrancescoSupriani (1678-1753)チェロのためのトッカータ Toccataper violoncello solo
G.B.ペルゴレージ GiovanniBattista Pergolesi (1710-1736)チェロと通奏低音のためのシンフォニア Sinfoniaper violoncello e basso Fa maggiore
G.B.コスタンツィ GiovanniBattista Costanzi (1704-1778)
2台のチェロのためのソナタ ハ長調 Sonataper due violoncello Do maggiore
第2回は「すべての道はナポリに通ず」と題したプログラム。ナポリの音楽院で優れた音楽教育が施された結果、チェロのヴィルトゥオーゾ(名人)が何人も誕生し、その後パリやロンドンでの活躍、そしてイギリス・フランスの音楽家たちに強い影響を与えたことで、ナポリのチェロ流派は現代につながる大きな礎となりました。その源流をたどるプログラムです。
第2回 すべての道はナポリに通ず Tutte le strade portano a Napoli
R.グレコ RoccoGreco (c1650-after1718)2台のヴィオラのためのシンフォニア第3番 SinfoniaTerza per due viole in Sol maggiore
G.ルーヴォ GiulioRuvo (?-1716) チェロのためのソナタSonata a violoncello solo in solminore
F.スプリアーニ FrancescoSupriani (1678-1753)チェロのためのトッカータ Toccataper violoncello solo チェロのためのシンフォニア Sinfoniadi violoncello solo in Do maggiore F.アルボレア FrancescoAlbore detto Francischello (1691-1739) チェロのためのソナタ Sonataper violoncello e basso in Sol maggiore
N.ポルポラ Nicola Porpora(1686-1768) チェロのためのソナタ Sonataper violoncello e basso in Fa maggiore
S.ランゼッティ Salvatore Lanzetti(c1710-c1780) チェロのための小品 (パリ国立図書館所蔵筆写譜) Piece pour le violoncelle inSol minore
第3回は「ローマの祝祭」と題して、偉大なるコレッリや 枢機卿オットボーニの音楽へのパトロン活動によって、ローマの音楽界は隆盛していました。ハイムやアマデイはその後ロンドンに渡り、ヘンデルのオーケストラのメンバーとしても活躍するなど、イギリスのチェロ流派にも大きく関わってきます。コスタンツィはボッケリーニの師匠としても知られていますが、その作品はあまり知られていません。ローマの多種多様で華やかなスタイルを知ることができる内容です。
第3回 「ローマの祝祭」 LaFesta di Roma
G.ボノンチーニ GiovanniBononcini (1670-1747)チェロと低音のためのソナタ イ短調Sonataa Violoncello e basso in la minore
N.F.ハイム NicolaFrancesco Haym (1678-1729)チェロと通奏低音のためのソナタ ホ/イ短調 Sonataper violoncello e basso in mi/la minore
F.アマデイ FilippoAmadei (fl.1690-1730)チェロと低音のためのソナタ ニ短調 Sonataa Violoncello Solo con il basso in re minore
G.ボンベッリ GiovanniBombelli (first half of 18th century)チェロと低音のためのソナタ ニ短調Sonataa Violoncello e basso in re minore
G.M.ペッローニ GiuseppeMaria Perroni (1700-1776)チェロと低音のためのソナタ イ長調Sonataa Violoncello e basso in La maggiore
G.B.コスタンツィ GiovanniBattista Costanzi (1704-1778)
チェロと通奏低音のためのソナタ 変ロ長調Sonataper violoncello e basso in Si bemolle maggiore
第4回 「ロンドンのイタリア人」 The Italians in London
パスクァリーノ・デ・マルツィス Pasqualino de Marzis (?-1766)
2つのチェロのためのソナタ 第 4 番 ヘ長調
Sonata a Violoncello e basso in F major
from SIX SOLOS for TWO VIOLONCELLOS
G.チッリ Gianbattista Cirri (1724-1808)
チェロと通奏低音のためのソナタ 第 5 番 ハ長調 作品 7
Sonata per violoncello e basso in C major
from Six EAST SOLOS for a Violoncello accompanied by a BASS or HARPSICHORD
N.F.ハイム Nicola Francesco Haym (1678-1729)
チェロと通奏低音のためのソナタ ト長調 Sonata per violoncello e basso in Sol maggiore
A.カポラーレ Andrea Caporale (1680-1783)
チェロと通奏低音のためのソナタ 第 3 番 ニ長調
Sonata a Violoncello e basso in D major
from VI SOLOS for the violoncello of SIG.CAPORALE
N.ポルポラ Nicola Porpora (1686-1768)
チェロのためのソナタ Sonata per violoncello e basso in La maggiore
G.B.チェルベット Giacobbe Basevi Cervetto (1680-1783)
チェロと低音のためのソナタ ニ短調 作品 2-12
Sonata a Violoncello e basso in d minor
from tweive SOLOS for a violoncello with Thorough Bass for the Harpsicord
第 5 回 トリオ!トリオ!トリオ! TRIO!TRIO!TRIO! con 上村文乃
G.B.チェルベット Giacobo Basevi Cervetto(c1682-1783)
3つのチェロのためのソナタ第6番
Sonata VI in Do minore
Six Sonatas or Trios for three violoncellos (1745, London)
B.マルチェッロ Benedetto Marcello(1686-1739)
2つのチェロのためのソナタ第2番 ニ短調 Sonata II in do minore op.2-2
IV Sonata a tre per due violoncelli e violoncello o Basso continuo op.2
(c1736, Amsterdam)
G.B.チェルベット Giacobo Basevi Cervetto(c1682-1783)
3つのチェロのためのソナタ第5番
Sonata V in La maggiore
Six Sonatas or Trios for three violoncellos (1745, London)
M.ベルトー Martin Berteau(1691-1771)
チェロ・ソナタ第6番(3つのチェロのための)
Sonata VI in mi minore op.1-6
Sonate da camera per violoncello solo col basso continuo op.1 (1748, Paris)
J.バリエール Jean Barriere(1707-1747)
チェロ・ソナタ第2番(3つのチェロたのための)Sonata II in re minore Livre 3-2
Sonates pour le violoncelle avec la basse continue LIVRE III (1736, Paris)
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「林田直樹のカフェフィガロ」出演
http://lanzetti.exblog.jp/20510013/
2013-10-04T11:08:00+09:00
2013-10-04T11:09:46+09:00
2013-10-04T11:08:24+09:00
takashikaketa
Musica 音楽
http://www.blue-radio.com/program/cafe/
「バロック・チェロと普通のチェロは何が違うのか(ガット弦だけではありません。構え方弾き方も微妙に違います)、バロック時代の通奏低音の楽器としては、ヴィオラ・ダ・ガンバとバロック・チェロは何が違うのか、そもそも通奏低音を演奏するとはどういうことなのか。
そんな基本的 なところに立ち返って、一から懸田さんに教えていただきました。ラ・ヴェネシアーナやリクレアツィオン・ダルカディア、バッハ・コレギウム・ジャパン、 オーケストラ・リベラ・クラシカ、チパンゴ・コンソート、レ・ボレアドなど、名だたる演奏団体で欠かせないバロック・チェロ奏者の懸田さんによる、実践的 な立場からのバロックについてのお話し、すごく楽しかったです。」 林田直樹さん「Linden日記」より
放送は、10月6日、13日日曜日の18時更新です。どうぞお楽しみください。
http://www.blue-radio.com/program/cafe/
放送でもお伝えしたものもありますが、秋~冬のコンサートのお知らせもご覧ください。
10月11日(金) 14時開演(平日ですが昼公演です) 東京オペラシティ 近江楽堂
チパンゴ・コンソート コレッリ/ヴァイオリン・ソナタ作品5全曲チクルスI
杉田せつ子(ヴァイオリン)、懸田貴嗣(チェロ)、桒形亜樹子(チェンバロ)
お問合せ 080-3087-1805
http://homepage3.nifty.com/setsukosugita/pg10.html
※12月16日にチクルス第2回があいます。(杉田せつ子、懸田貴嗣、西山まりえ、桒形亜樹子)
11月1日(金) 19時開演 東京オペラシティ 近江楽堂
ダルシット・ノーツ vol.3 広瀬奈緒 ソプラノ・コンサート
バッハ カンタータ61番、202番より
ヘンデル アレクサンダーの饗宴 「優しく甘いリディアの調べが」
ヴィヴァルディ カンタータ「そよ風よ、お前はもはや」
広瀬奈緒(ソプラノ)、懸田貴嗣(チェロ)、渡邊孝(チェンバロ)
http://www010.upp.so-net.ne.jp/ki-no-utsuwa/concert/dulcetnotes3.html
11月5日(火) 19時開演 東京オペラシティ 近江楽堂
リクレアツィオン・ダルカディア ”未知のヴィルトゥオーゾ ヘンリクス・アルビカストロ”
アルビカストロ トリオ・ソナタ 作品8より
コレッリ トリオ・ソナタ 遺作 より
松永綾子、山口幸恵(ヴァイオリン)、懸田貴嗣(チェロ)、渡邊孝(チェンバロ)
http://concertinformation.blog.so-net.ne.jp/upload/detail/m_1105web.jpg.html
その他、
10月19日(土)上野学園 オーケストラ・リベラ・クラシカ http://olc.hidemisuzuki.com/
10月26日(土)神奈川県立音楽堂 渡邊順生/ザ・バロックバンドでブランデンブルク協奏曲全曲
http://arches-special.blog.so-net.ne.jp/2013-07-13-1
などあります。
みなさまのご来場お待ちしております。]]>
2月5日CDリリース記念コンサート(リクレアツィオン・ダルカディア)
http://lanzetti.exblog.jp/18414673/
2013-01-25T10:30:00+09:00
2013-01-25T10:32:46+09:00
2013-01-25T10:30:25+09:00
takashikaketa
未分類
2013年2月5日(火)19時開演
東京オペラシティ3F・近江楽堂
アンサンブル・リクレアツィオン・ダルカディア Ensemble Ricreation d'Arcadia
(松永綾子、山口幸恵、懸田貴嗣、渡邊孝)
2004年にイタリアのボンポルティ国際コンクール優勝から早9年、それから多くのヨーロッパでの公演を重ねてまいりました。昨年は渡邊が「ゴルトベルク変奏曲」(レコード芸術誌特選)、懸田/渡邊の「ランゼッティ/チェロ・ソナタ集」(文化庁芸術祭優秀賞)などソロ作品のリリースを行いましたが、ようやく満を持してアンサンブルでも国内でのCDリリースをいたします。
(会場では先行発売いたします。本リリースは3/7です。)
そのリリース記念を祝して、
CDのテーマとなった「ルクレール」、
今年没後300年を迎えるローマ・バロックの巨匠「コレッリ」、
2人のフランスとイタリアのバロックを代表する作曲家を取り上げたコンサートをいたします。
チケットはtakashikaketa@gmail.comにメッセージいただければご用意いたします
みなさまのご来場、お待ち申し上げております。
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コレッリ vs ルクレール
~二人のヴァイオリンの名手を讃えて~
J-M.ルクレール
序曲 第2番 ニ長調 序曲とソナタ集 作品13(1753)
優しい音楽の気晴らし 第1集 作品6 (1736)
A.コレッリ
トリオ・ソナタ op.4-6
トリオ・ソナタ op.4-8
トリオ・ソナタ op.4-10
チャッコーナ op.2-12
B.パスクイーニ
ベルガマスカ
Jean-Marie Leclair (1697-1764)
Ouvertura II en Re majeur
[3] Ouvertures et [3] sonates en trio, op.13 (1753)
Premier Recreation en Re majeur
Première recréation de musique d’une exécution facile, Op. 6 (1736)
Arcangelo Corelli (1653-1713)
Sonata Sesta in Mi maggiore, op. 4-6
Sonata Ottava in re minore, op. 4-8
Sonata Decima in Sol maggiore, op. 4-10
Ciaccona in Sol maggiore, op. 2-12
Bernardo Pasquini (1637-1710)
Bergamasca [S.B.P.K. Landsberg 215]
全席自由 4000円
ご予約・お問合せ:オフィスアルシュ03-3565-6771
チケット取扱い:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 他 ]]>
文化庁芸術祭レコード部門優秀賞受賞
http://lanzetti.exblog.jp/18280990/
2012-12-22T22:58:00+09:00
2012-12-22T23:27:29+09:00
2012-12-22T22:59:57+09:00
takashikaketa
Musica 音楽
「ランゼッティ/チェロ・ソナタ集」(ALCD-1131, ALM RECORDS)が
平成24年度(第67回)文化庁芸術祭レコード部門優秀賞 をいただきました。
文化庁の発表ページ
http://www.bunka.go.jp/ima/press_release/pdf/media_geijutsusai_121221.pdf
受賞理由:
サルヴァトーレ・ランゼッティはチェロのヴィルトゥオーゾとして国際的に名声を博した最初の人物とされるが、現在その作品は広く知られてはいない。本ディスクは、単に知られざる作品を発掘した(6曲中4曲が世界初録音という)だけにとどまらず、それらに秘められた極めて個性的な魅力を遺憾なく引き出した点が評価された。懸田貴嗣の卓抜した楽曲解釈と、渡邊孝の独創的な共演が相互に高め合って、エキサイティングな音楽作りが実現している。
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初めてのソロ録音がこのような賞をいただけるのは本当に嬉しい限りです。
共演の渡邊氏、録音を実現してくださったコジマ録音さん、その他沢山のお世話になった方々にはこの場を借りて感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。
作品に秘められた「極めて個性的な魅力」というのはまさにそのとおり、しかし「遺憾なく引き出」せたかどうかは自分ではいろいろと思うことがありますが、ともかくもランゼッティという音楽の魅力が少しでも多くの人に伝わることを願っています。録音からリリースにいたる過程での精神的なダメージ(笑)にここしばらく次に録音することは全く考えられませんでしたが、賞をいただいたことによって、私のようなものでも人が録音しないような良い音楽があれば、また録音してもいいのかな、と少しだけ勇気を与えられたような気分です。(皆様のご支援や支持があればそれも実現可能性があります!)
私の演奏の善し悪しはともかく!この録音が、ランゼッティのソナタをもっと聴きたい、弾いてみたい、もしくは他のバロック期のチェロ・ソナタにはどんなものがあるのだろう?ぜひ聴いてみたいというような、皆さんの音楽人生が少しでも豊かになるような一つのきっかけになることを切に願ってやみません。バロック音楽は、バッハやヴィヴァルディだけではありません、チェロのためのソナタはベートーヴェンとブラームスだけではないのです(もちろんそれらは本当に素晴らしい傑作達ですが!)。
あまりにマニアックな、、、と一蹴せず(←ここ大事なところ)、今後もコンサート、録音、様々な機会にぜひ触れていただけたらと思っています。私も少しでも皆さんに楽しんでいただけるよう、引き続き精進したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まだCDをお持ちでないかたはぜひコチラを!
Amazonのランゼッティ注文ページ]]>
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第5回
http://lanzetti.exblog.jp/18020421/
2012-09-30T22:28:00+09:00
2012-09-30T23:40:42+09:00
2012-09-30T22:28:13+09:00
takashikaketa
Musica 音楽
第4回 ランゼッティ チェロ・ソナタ作品1の聴きどころ(5)
CDジャーナル ニュース
http://www.cdjournal.com/main/news/kaketa-takashi/46889
Yahoo ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120903-00000019-cdj-musi
Amazonでの注文ページは こちら
これまでの連載はこちら。
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第1回
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第2回
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第3回
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第4回
CLASSICAサイトの飯尾さんがランゼッティについてブログ記事を書いてくださっています。
http://www.classicajapan.com/wn/2012/09/281145.html
さて、マイペースで書いてきた連載も5回目、そろそろネタも少なくなって来ました。
とりあえずは、最後の6番のソナタについて、書いてみましょう。
前半6曲の最後を飾るソナタ6番は変ロ長調。変ロ長調のチェロの曲と言えば、ボッケリーニのチェロコンチェルトが有名ですが、チェリストにとって決して弾きやすい調性ではありません。ヴィヴァルディの9つのソナタにはなぜか3つもの変ロ長調の作品が含まれており、それも一つの疑問点(Vero e falso 真作と偽作と題する論文集 Eleanor Selfride-Field"Vivaldi's celo sonatas")となっていますが、ランゼッティの場合は、ソナタ集全体の調性バランスの中で、変ロ長調のキャラクターを持つ作品を必要としたから、ということではないかと単純に推測します。
5番がシリアスな性格をもっていたのに対して、6番の1楽章は非常にユーモラスな作品です。テーマがforteとpianoで2回繰り返された後、突然トリルを含むおかしなアルペジオのゼクエンツがしつこく続いた後、いきなりのpiano、等々と少々ボケ倒しているかの如き展開。後半は平和にヘ長調、とおもいきやすぐにト短調へ、、、という気まぐれにもほどがあるだろう、ということばかり。ナポリ人、かく語りき?
2楽章は少々特別な楽章です。この楽章は2つの部分に分類され、レチタティーヴォ風の部分、そして通奏低音がずっと16分音符で半音階下降のラメントバスを刻む部分。ナポリの和音も印象的なレチタティーヴォ部分は、12曲のソナタの中でも特別な雰囲気、質を持っていると思います。最後のラメントの部分は録音でドツボにはまってしまった部分で、思い出すだけでも背筋が寒くなります笑。しかし、この2楽章はバロック時代のチェロ・ソナタLargo楽章の中でも名作ではないでしょうか。
3楽章は変奏曲。作品1の中で変奏曲を用いているのはこの曲だけ、6つの変奏から成っています。のんびりムードのテーマですが、Gavotta, Allegro ma non prestoという表記がついています。最後の忙しい変奏のことを考慮すると、最初のテーマはあまり早くできないのが悩みどころでしたが、ランゼッティはきっとこのヴァリエーションをスリリングに、そして見事に弾き切ったのではないかと想像します。活発な第4変奏の10度跳躍の連続、そのあとに来る穏やかな変奏への流れ、そしてラストの盛り上がりは前半6曲の最後に相応しい幕切れ、なのでしょうか。
ところで、ミシェル・コレットがチェロ・メソード(1741)の中で、ランゼッティは特にスラースタッカートの技術に優れていた、と記述していますが、作品1の中でそれに該当するような記譜部分は存在しません。しかし、特筆に値するほどのインパクトを与えたところを見ると、彼の運弓のテクニックも素晴らしいものだったことが分かると同時に、楽譜に書いてあること以上にヴィルトゥオーゾで即興的なアイディアを演奏に盛り込んでいたのだろう、と、当時の聴衆が羨ましく思えるのです。
これはランゼッティによる Principes ou l'application de violoncelle par tous les tonsの一部分。教則本的な作品ですが、彼の運指メソードが分かり、非常に興味深いものです。0は親指。
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「ランゼッティ/チェロ・ソナタ集」ディスク批評
http://lanzetti.exblog.jp/18001110/
2012-09-25T00:08:00+09:00
2012-09-25T00:09:59+09:00
2012-09-25T00:08:56+09:00
takashikaketa
Musica 音楽
音楽の友10月号
今月の注目盤 (諸石幸生氏)
サルヴァトーレ・ランゼッティ(1710?~1780)という18世紀イタリアのチェリストの手になる「チェロ・ソナタ集」(Ko-ALCD1131)が録音された。1736年に出版された作品1からの抜粋で、全部で6曲が演奏されているが、エチュード的な印象は皆無で、チェロの魅力がよく引き出された歌にあふれた作品の素晴らしさに心奪われる。演奏しているのは懸田貴嗣である。近年評価を高めている古楽チェロ奏者だが、しなやかに歌うカンタービレ、考え抜かれた様式感、そして香しい音色が織り成す世界は、まさに心の贅沢に浸らせる。
ぶらあぼ10月号
新譜ピックアップ
18世紀には”振興楽器”だったチェロの最初期のヴィルトゥオーゾ、ナポリ出身のサルヴァトーレ・ランゼッティ(1710頃~1780)が1736年に出版した、ソナタ集からの6曲。第1音から、その艶めかしさに驚かされる。だが、高度な技術のみならず、奏者にとっては、突然の楽想やダイナミクスの転換など、音楽解釈上の問題も山積。懸田はそれらに一つひとつ対峙し、チェンバロの渡邊と共に、丁寧に解いていく。その結果、謎多きヴィルトゥオーゾの実像に迫る、魅力的な録音に仕上がった。知られざる佳品に秀演で触れるにとどまらず、18世紀の音楽自体への先入観を覆す体験になるかも。(寺西肇)
Amazonでの注文ページは コチラ
予想以上に反響あり、嬉しい限りです。ぜひ多くの方に聴いていただきたいと思っています。
今週末のブログ更新に向けて、ネタを考え中・・・・
18世紀半ばトリノ宮廷劇場の様子(一部)。1752年前後とも言われていますが、だとするとランゼッティはロンドンからまだ帰ってきていないのか。しかし、彼はこの絵は見ているかもしれませんね。]]>
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第4回
http://lanzetti.exblog.jp/17991120/
2012-09-22T02:11:00+09:00
2012-10-01T09:01:58+09:00
2012-09-22T02:10:48+09:00
takashikaketa
Musica 音楽
第4回 ランゼッティ チェロ・ソナタ作品1の聴きどころ(4)
CDジャーナル ニュース
http://www.cdjournal.com/main/news/kaketa-takashi/46889
Yahoo ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120903-00000019-cdj-musi
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これまでの連載はこちら。
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第1回
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第2回
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第3回
各音楽雑誌のレビューも出揃いつつあり、少しほっとしています。
レビューとは別に、CDジャーナル10月号では、秋の夜長のバロック・チェロ、という題で簡単なチェロの発展史に加えて、お薦めのバロック・チェロCDを紹介する雑文を書いています。ぜひ御覧ください。66頁です。
さて、前回予告してしまったので、3番、1番、6番のソナタについて書かなければなりませんね。
これは未出版のランゼッティ作品の筆写譜表紙。元々のつづりであるLancettiとなっています。
3番ニ長調の1楽章はAdagio cantabile。ゆったりとした旋律が流れる中、ロンバルディックなリズム(短長)がフォルテで突然出てきたり、流れを中断するフェルマータがあったり、、、と実は様々な変化の多い楽章。以前実演したときはかなり装飾を付けたのですが、録音では控え目に、できるだけ元々ある装飾的なラインを生かして弾いています。2楽章は4拍子のAllegro。度々出てくるフォルテの同音反復パッセージが少々可笑しいですが、途中でニ短調になる部分は、増2度や毎小節のアポジャトゥーラがなんとも言えない憂いをもっていて、好きなところ。チェロとチェンバロは一生懸命連打してます笑。 3楽章のMenuet Allegroは渡邊氏のアイディアでチェンバロの4フィートを使用。チェロはずっと中音域にいるのですが、かわいらしいメヌエットになっているでしょうか?3番はニ長調という調のせいもあってか、他のソナタに比べると素直な音楽で明快。はじめてランゼッティのソナタを弾くときはこの曲をお薦めします。
1番のト長調はAllegro-Adagio-Rondeau Allegro。録音の1曲めはこのソナタだったのですが、編集段階で意外に苦労したのもこの曲。親しみやすく軽い語りかけで始まり、半音階の下降が少々のアクセントとなったり、明快なゼクエンツとともに展開する1楽章。2楽章はあまりにシンプルなメロディー(例えば、冒頭のシードシドシ~)のため、どう演奏すべきか悩みましたが、少々の装飾なども加えてAdagioの雰囲気が出たのではと思います。でも、このテーマはちょっとシンプルすぎるよな・・・ 3楽章は弾く度に好きになっていったRondeau。実は作品1の最後を飾る12番の最終楽章もRondeauなのですが、私にはこの2つが作品1の両端で呼応しているように思えてなりません。人懐こいロンドー主題、昔を懐かしむような反復。
とここまで書いたところで、あまり長くならないようにとお達しもあったので、今日はここまでにします。
最後の6番についてはまた次回、もしくは次々回?]]>
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第3回
http://lanzetti.exblog.jp/17971146/
2012-09-16T00:56:00+09:00
2012-09-16T21:10:57+09:00
2012-09-16T00:56:14+09:00
takashikaketa
Musica 音楽
CDジャーナル ニュース
http://www.cdjournal.com/main/news/kaketa-takashi/46889
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120903-00000019-cdj-musi
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さて。本当は毎週金曜日のブログを更新することを自分に課しているわけですが、一日遅れてしまいました。ここ数日間はアルディッティSQ・アルディッティ氏ご子息のカウンターテナー、ジェイクとのコンサート、その後福岡の古楽祭などあり、バタバタとさきほど帰宅したところ・・・・
これまでの連載はこちら。
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第1回
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第2回
というわけで、頭も働かないし、これまでの連載は少々堅い話が続いたので、今回は難しい話は無しにしましょう、と勝手に決めてしまいました。
この「ランゼッティ/チェロ・ソナタ集」の演奏は、私とチェンバロの渡邊孝氏によるものですが、彼とはかれこれ10年以上の付き合いになります。皆さんもおそらくは御存知のアンサンブル「リクレアツィオン・ダルカディア」の、またはヨーロッパでのグループでの同僚としても長らく演奏活動を一緒にしているわけですが、偶然にも名前が同じ「タカシ」、ということで、様々なエピソードがありました。
たとえば、ドイツの教会でのコンサート後、つかつかと歩み寄ってきた年配の男性。
「ねぇねぇ、きみとチェンバロの彼は名前が一緒だけど、兄弟かなにか?」 (姓が一緒ではありません!)
というのは、まぁ笑えるほうで、
イタリアのある主催者はプログラムに、
「チェロ カケタ・ワタナベ、チェンバロ タカシ・ワタナベ」
と書いてしまった。(イタリアのコンサートの後にそのままポーランドでのコンサートがあったので、飛行機予約の名前も間違っていないか冷や汗ものだった。)
主催者曰く、「どっちかの部分が一緒だってことは覚えてたんだけどね~」とアバウトな様子・・・。
また、あるオーケストラのツアーでは、グループが昼と夜の2つの便に分かれて、ローマからウィーンへ移動することになっていた。私と渡邊氏は別々の便にグループ分けされていたので(プリントには、それぞれタカシ、としか書いていなかったが、私は早い便、渡邊氏は遅い便、と二人共信じて疑わなかったのだ。)早い便に乗るつもりで空港にグループで到着した私はチェックインする段階になって、ビックリ。リストにあるのはタカシはタカシでもワタナベの方。困ったことに後からくる渡邊氏は、意図せずして早い便を乗り過ごしたことになり、チケットがない。私は6時間くらい待てば済む話だが(とは言ってもこの待ち時間は長かった!)、彼はもし次の便の予約が取れないとなると一人取り残され、次の日のコンサートに間に合わない可能性もある。最終的にはなんとかチケットが買えて、無事ウィーンに辿り着いたのであったが、これは一つ間違えば、大きなロスになったエピソード。
とそんな幾多の困難?を乗り越えて、レコーディングしたのが今回のランゼッティなのでありました。
これはレコーディング時の様子。
そして、なんと今回のディスクにはもう一つの大きな偶然が。
解説を書いて下さった、音楽学者山田氏もなんと高誌(タカシ)氏なのです。
もちろん名前で選んだわけではなく、彼はナポリ音楽に関して専門家でありますから是非に、とお願いした次第。
3人のタカシが作ったランゼッティ、と、そんなことを知ったところで楽しみが増えるわけではありませんが(笑)、そんなエピソードも交えつつ。
次回こそは、後半3曲、3番、1番、6番のことを書こうと思います。]]>
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第2回
http://lanzetti.exblog.jp/17945084/
2012-09-08T02:35:00+09:00
2012-12-11T11:09:57+09:00
2012-09-08T02:34:57+09:00
takashikaketa
Musica 音楽
CDジャーナル ニュース
http://www.cdjournal.com/main/news/kaketa-takashi/46889
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120903-00000019-cdj-musi
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もうすでにお手元にCDが届いている方もいらっしゃるかと思います。お買い上げありがとうございます。まだ聴いていらっしゃらない方にネタばらししてしまうのもどうかと思いますが、できるだけ多くの方に楽しんでいただけるよう少々コメントを加えていこうと思います。
まずCDの曲順ですが、番号順ではありません。5番に始まり、2番、4番、1番、3番、6番の順ですね。5,2,4,1,3,6。5,4,3と、2,1,6の数列を交互に組み合わせた深い意味は、、、というのは冗談で、当然調性と全体の流れを考えて、できるだけ単調にならないように、と考えたものです。特に5番以外全て長調ということで、実はとても並べにくく、苦心しました。(とは言っても組み合わせは限られているのですが)
まず、この作品1の12曲全体を眺めてみましょう。調性は順に G - A - D - C - a - B - G - e - a - fis - F - D (大文字は長調、小文字は短調)となっています。今回の録音には含まれていない後半6曲には短調が3曲もあり、前半とは対照的ですね。しかもラの開放弦を使えるとは言っても、9番の嬰ヘ短調は非常に珍しい。とは言っても同じくナポリの作曲家レオナルド・レオのチェロ・コンチェルトヘ短調(ランゼッティ作品1の出版とほぼ同時期に作曲)があって、それよりはまだこちらのほうが弾きやすい。
12曲を通すと、後半に行くに従って難易度が高くなるよう並べられているのが分かります。4番までは開放弦の1オクターブ上a'までの音域で収まっていますが、5番1楽章からその3度上のcまで拡大し、2楽章では作品1のほぼ最高音a"まで到達します。(作品1の最高音は9番の2楽章のh")詳細に吟味したわけではありませんが、a"までのパッセージは当時としては異例であり、まるでパガニーニを初めて聴いた時のように、人々は目を丸くして驚いていたのではないか。しかも12番では左手親指を使った(と思われる)a'より高い音域でのパッセージが連続しているので、そのブリリアントな響きはかなり衝撃的だったのではないかと想像します。作品1より後のランゼッティによる他作品を見ても、音域についてはそれ以上高くなることはありませんし、フィンガリングも含めて、ハイポジションのテクニックという意味では、既に完成していたのではないでしょうか。あまり専門的なことばかり言うのもなんですが、特に親指ポジション、そしてそのポジションでの左手小指の多用(パッセージから見て、そうとしか私には思えない)は、後世代を先取りしているものです。こうしたハイポジションでのテクニックは、ランゼッティが学んだ可能性もあるシプリアーニの作品や前世代には見られないものです。
では、収録曲順に、簡単にそれぞれの曲にコメントしてみましょう。
5番は6曲中で唯一の短調ということもありますが、非常に強いキャラクターを持っていて、ランゼッティのヴィルトゥオーゾとしての面目躍如的な曲でもあるかと思います。これは個人的な意見ですが、作品1の12曲はテクニック的な面や音楽の成熟度から考えて、1~4番、5~9番、10~12番という3つのカテゴリに分けることができるのではないかと思います。5番は、一つ成熟の階段を登った最初のソナタということです。1楽章はAdagio cantabile、途中繰り返される器楽的なパッセージのパターンは、ナポリの作曲家フィオレンツァの独奏チェロ(と2つのヴァイオリン、通奏低音)のためのシンフォニア(1728)でもよく似たものが見られます。果たして定形的なイディオムなのだろうか?
fiorenzaの該当部分
1~4番までは限定的だったダブルストップ(重音)ですが、5,6,7度の連続などが増えてきます(弾き易くはない)。2楽章は4拍子のAllegro、速いパッセージの中で2オクターブ近い跳躍があったり、非常に名手的なアピールに富む楽章。時折出てくる歌謡的な部分でほっとします。後半ではついに最高音a"が登場。ここでもダブルストップが頻繁に活用されており、重音がもはや特別なテクニックではなくなっている感があります。3楽章は3/8のandanteメヌエットですが、中間部で3/4、長調に変わり、軽さの中にダブルストップやハイポジションなどが盛り込まれています。
続く2番はイ長調、Andante cantabile - Allegro - Menuet Cantabile。イ長調らしい柔和なカンタービレの中でシンコペーションが印象に残る1楽章、そしてカノン風に始まる2楽章は決断に迷う主人公が悩める心境をこまごまと歌うアリアのよう。3楽章は、イ短調~ハ長調と長めの中間部をもつメヌエット・カンタービレ。1楽章はよいとしても元来ダンスであるメヌエットにカンタービレとついているのは興味深いですね。このソナタは、オペラの器楽版超短縮ダイジェストのようなものかもしれません。
4番はハ長調、Adagio cantabile(やはりcantabile)- Allegro - Allegro、堂々たる長い前奏(楽譜を見るとチェロによる通奏低音を想定しているのでしょう)を持つ1楽章、オペラの主役カストラートがメッサ・ディ・ヴォーチェで登場する場面のようです。2拍子の快活な2楽章(結構好き)、3/4拍子の3楽章は途中ダブルストップで二声になる部分が愛らしい。このソナタは、作品1の中でももっともコンパクトにまとまったもので、楽章のキャラクターが非常に明快で、コンサートでも取り上げたい曲の1つです。
と、これで収録したソナタの前半3曲なのですが、9つの楽章中4つにcantabileがついているという、、、。
どれだけcantabileしたいんだという、ナポリ人の業のようなものを強く感じます。
夜も更けてきたので、あとは次回、残す3曲について書こうと思います。]]>
ランゼッティ チェロ・ソナタ集CD発売記念連載 第1回
http://lanzetti.exblog.jp/17921913/
2012-09-01T03:59:00+09:00
2023-11-03T12:38:34+09:00
2012-09-01T03:58:42+09:00
takashikaketa
Musica 音楽
9月7日、私の初めてのソロCDである「ランゼッティ チェロ・ソナタ集」(ALCD-1131)がコジマ録音レーベルからリリースされます。
CDジャーナル ニュース
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120903-00000019-cdj-musi
amazonからの注文サイト は こちら
CDリリースに合わせて、ランゼッティと今回の演奏についての覚書、CDについてブログを定期的に更新していきますので、ぜひご覧ください。
まず、初回はこのチェロ・ソナタの作曲者であるイタリア人サルヴァトーレ・ランゼッティ(c1710-1780)について書いていきましょう。音楽家の間でさえもランゼッティの名とその音楽を知っている人は、おそらくかなり少ないでしょう。バロック時代のチェロのための作品といえば、バッハの無伴奏組曲、ヴィヴァルディのソナタが一般にはメジャーでしょうか。しかし、サルヴァトーレ・ランゼッティは1680年代に始まった独奏旋律楽器としてのチェロの歴史の草創期において、非常に大きな役割を果たした存在だということができます。
チェロの発祥に関する歴史とその問題点については、またあらためて記事を書くつもりですが、おおまかにはこうです。ヴァイオリン属の低音楽器として作られたヴィオローネ(または様々な呼び名を持つ)が、弦の改良と小回りのきくような小型化の要求とともにほぼ現代のサイズまで小さくなっていったことで、ヴィオロンチェロ(小ヴィオローネの意)という名に変わっていきます。史料上初めて「ヴィオロンチェロ」という名が現れるのは、1665年ジューリオ・チェーザレ・アッレスティの作品においてです。ソロ楽器としてのチェロに作品が書かれたのは1680年代以降、ドメニコ・ガブリエッリ、ヤッキーニ、ボノンチーニというボローニャの音楽家達によってですから、ランゼッティは「チェロ」が独奏楽器として見なされるようになってから30年もたたないうちに生まれたということになります。
ランゼッティが生まれたナポリは、当時4つの音楽院を持ち、厳格な音楽教育を行うことでも既に有名になっていました。それらの音楽院は、有名なペルゴレージ、レオナルド・レオ、ニコラ・ポルポラなど多くの優秀な作曲家、そして演奏家を育てています。その中の一つ、サンタ・マリア・ディ・ロレート音楽院で教育を受けたランゼッティは、卒業後の1727年イタリア中部トスカーナのルッカという街の宮廷教会音楽家として雇われます。ルッカは1687年にジェミニアーニ、1743年にはボッケリーニ、19世紀にはプッチーニが生まれた街として有名です。ボッケリーニの父親レオポルドが生まれたのが1712年ですから、もしかしたら15歳のボッケリーニ父は20歳前後のランゼッティの演奏を聴いているかもしれません。
その後すぐにトリノ宮廷にヘッドハンティングされたところを見ると、20歳前後ですでにかなり抜きん出た音楽家として存在感を示していたのでしょう。トリノ宮廷に籍を置いたまま、彼はパリやロンドンなど北ヨーロッパを演奏旅行し、なんとロンドンにはそのまま1754年まで滞在することにしてしまいます。その間の1736年には、パリの有名なコンサートシリーズ「コンセール・スピリチュエル」で初めてのソロ・チェリストとして招聘され、1738年以降パリのチェロソナタ集の出版ブームに大きな影響を与えたと思われます。(ある社は、1750年までの間に26巻ものソナタ集を出版。1巻6曲と考えると156曲!)チャールズ・バーニーによると、ロンドンでのランゼッティは大成功を収め、ロンドンでのチェロ趣味というものを定着させるのに大いに貢献した、ということですから、まさに華々しいソリストキャリアを築いたのでしょう。
それ以前にも、ナポリからウィーンに渡ったフランチスチェッロ(フランチェスコ・アルボレア)のような伝説的な名人チェリスト(クヴァンツが「比類ない」と感動し、ベンダは「彼のチェロのようにヴァイオリンを弾きたい」と熱望した)やシプリアーニ(1678-1753)はいたものの、ランゼッティはフランス、ドイツ(記録では1751年フランクフルト・アム・マイン)、イギリスといった国際的な舞台で独奏チェロ分野への認知を確立させたという意味で、その役割は非常に重要であったということが言えます。
パリでデビューした1736年にアムステルダムで12曲のソナタから成る作品1を、その後はロンドンとパリで作品集を出版しています。ロンドンで出版したソナタ 6 Solos after an Easy & Elegant Tasteや、パリで出版した作品5,6は技巧的にも成熟しますが、作品1で持っていたような荒削りの魅力には欠けるように思います。
長い不在にもかかわらず、1760年代にトリノ宮廷の元のポストに戻ったということですから、彼がどれだけ職場で厚遇されていたのか推測できます。
ランゼッティの先進的な部分は、それまでに見られなかった名人技的なものを多く作品に盛り込んだことでしょうか。たとえば作品1のソナタ12番では、高音域で左手親指を使用したテクニックが頻繁に使われ、音域は開放弦の2オクターブ上のa"まで上がっていきます。重音の効果的な使用や、様々なボーイングのテクニックも画期的で、ランゼッティの特異性もさることながら、ナポリの音楽教育がいかにレベルの高いものであったかが想像できます。
より詳細で有益な情報については、音楽学者山田高誌氏によるCDブックレット解説がありますので、是非そちらもお読みすることもお薦めします。
次回記事では、今回録音した1~6番のソナタの聴きどころ、レコーディングの様子などご紹介したいと思っています。(次回更新は来週9/7(金)を予定しております。努力します。)]]>
バロック・チェロを弾いてみたい方へ
http://lanzetti.exblog.jp/17889996/
2012-08-22T13:11:16+09:00
2012-08-22T13:11:13+09:00
2012-08-22T13:11:13+09:00
takashikaketa
未分類
場所は首都圏なら出張可能。(それ以外の方は要相談)
ガット弦、バロック・ボウ、楽器のこと、場所、回数、グループでのレッスンなど、相談に応じます。
レッスンの内容は大まかに以下の通り。
1)バロック期のチェロ・ソナタ、無伴奏作品
コロンビ、ヴィターリ、ガブリエッリなど17世紀後半のチェロ初期作品から
ヴィヴァルディ、ランゼッティ、ジェミニアーニなどの後期バロックのチェロ・ソナタ
JSバッハ、バッハの息子、テレマンによるソナタなどドイツ・バロック、
フランスのソナタ(バリエール、ボワモルティエなど)
2)バロック~古典派において重要なチェロによるコンティヌオ(通奏低音)
上述チェロソナタのコンティヌオをテキストに実践的に行います。
おまけ)当時の教則本、資料の読解
希望に応じて、17世紀後半~18世紀までのチェロの歴史に関する講義も承ります。
今後状況の応じて、チェンバロ、ヴァイオリンや管楽器、歌などのゲストを迎えて、実践的な演奏を学習する機会を設けたいと思っています。]]>
Concerti 2011
http://lanzetti.exblog.jp/15290773/
2011-01-01T11:05:00+09:00
2012-02-29T11:35:58+09:00
2011-01-07T11:05:53+09:00
takashikaketa
Concerti コンサート
1.23 J.S.バッハ チェンバロ協奏曲の愉しみ
2.5 Bach Collegium Japan Cantata 神戸
2.6-9 レコーディング
2.10 Bach Collegium Japan Cantata 東京オペラシティ
2.17 Ricreation d'Arcadia Merano, Italy
2.18 Ricreation d'Arcadia
2.27 La Venexiana Varese, Italy
3.5 Pergolesi Stabat Mater
3.16 "Poppea" La Venexiana Venezia, Italy
3.26 Stradella&ScarlattiLa Venexiana Napoli, Italy
4.7 Stradella&ScarlattiLa Venexiana Roma, Italy
4.13-24 Theatrum Affectuum Concert tour, Germany
4.27-5.2 Recording La Venexiana
5.8 La Venexiana Torino, Italy
5.22 Orchestra Libera Classica
6.2 La Venexina Halle, Germany
6.13 La Venexina Ulisse Regensburg, Germany
6.15 La Venexina Halle, Germany
6.22 La Venexina Ulisse Paris, France
7.4 La Venexina Ulisse Amsterdam Concertgebow
7.9 Theatrum Affectuum
7.10 Theatrum Affectuum
7.22 Ricreation d'Arcadia 東京公演
8.14 Ricreation d'Arcadia Austria
8.28 マタイ受難曲 通奏低音 千葉
9.12-18 福岡古楽音楽祭
10.10-15 Recording La Venexiana Ulisse
10.17-22 Orchestra Libera Classica
10.30-11.5 Ensemble Genesis
11.11, 13 Hokutopia Festival
11.23 La Venexina
12.14 La Venexiana]]>
Luglio - Agosto 2010
http://lanzetti.exblog.jp/15233280/
2010-12-28T00:43:00+09:00
2010-12-28T11:05:08+09:00
2010-12-28T00:43:12+09:00
takashikaketa
Diario 記録
日本に戻った後は、先日CDデビューを果たしたトリオ”アクア・トリニティ”の合宿にお邪魔。
演奏を聴かせていただくのは2回目ですが、バロックの奏法に関する意見交換などをして、こちらも勉強になりました。みなさん素晴らしいプレイヤー、そしてアンサンブルですので、ぜひお聴きになってください!
CDはコチラから
その後、リクレアツィオン・ダルカディアの「ルクレールの肖像」のコンサート。
今年から年2回の定期公演を続けていくことにして、その記念すべき第1回目となりました。
コンサートには上述のアクア・トリニティの礒さん、水谷川さん、水永さん、ヴァイオリンの杉田せつ子さんなど同業の皆さんはじめ、沢山のお客様に来ていただけて、ほっと一安心。ご来場ありがとうございました。
コンサート後の一枚。
中旬から再び渡欧、スイスのFribourgという町での国際宗教音楽フェスティバル、という真面目な?音楽祭で、ヴェネシアーナと共にバッハ、ブルーンスなどドイツのカンタータ集。イタリアのグループとしては非常に珍しい演目です。
Claudio Cavina contre-ténor & direction
Francesca lombardi soprano
Andrea Arrivabene alto
Makoto Sakurada ténor
Marco Bussi basse
efix Puleo violon, Daniela Godio violon
Gianni de rosa alto
Takashi Kaketa violoncelle
Alberto lo Gatto contrebasse
Fulvio Garlaschi théorbe
Matteo riboldi orgue
Cantates allemandes à l’italienne
De Tunder à Bach
Franz Tunder (1614-1667) Salve mi Jesu (alto)
nicolaus Bruhns (1665-1697) De profundis (basse)
johann Sebastian Bach (1685-1750)
Nun komm, der heiden heiland, BWV 61
Dietrich Buxtehude (ca. 1637-1707)
Sicut Moses, BuxWV 97 (soprano)
Quemadmodum desiderat cervus, BuxWV 92
johann Sebastian Bach
O heil’ges Geist und Wasserbad, BWV 165
武士道Tシャツが気になります。
その後、ニース、エクサンプロヴァンスを通り過ぎ、モンペリエでのカヴァッリ「Artemisia」公演。
Francesca Lombardi Marzulli, Artemisia
Sakiko Abe, Artemia
Valentina Coladonato, Oronta
Maarten Engeltjes, Meraspe
Roberto Balconi, Alindo
Marina Bartoli, Ramiro
Silvia Frigato, Eurillo
Salvo Vitale, Indamoro
La Venexiana
Renata Spotti, Violon, Efix Puleo, Violon
Luca Moretti, Alto
Takashi Kaketa, Violoncelle
Alberto Lo Gatto, Contrebasse
Fulvio Garlaschi, Théorbe
Michael Leopold, Théorbe
Maurizio Pancotti, Théorbe
Pietro Prosser, Théorbe
Cristiano Contadin, Lirone
Marta Graziolino, Harpe
Davide Pozzi, Clavecin
Claudio Cavino, Clavecin
Claudio Cavina, Direction
モンペリエの劇場はこんな建物。
南仏はトラムも可愛らしいのです。
その後一度日本に戻り、リハーサルやらコンサートを済ませた後、またまた渡欧。
マッジョーレ湖の近く、Mergozzoという小さな町のコンサートシリーズでの、デュオ・リクレアツィオン・ダルカディア(松永綾子&懸田貴嗣)。モーツァルトの二重奏(Vn&Vc版)など。
ポスター真ん中のマンドリニストアヴィ君は、最近ソロを弾いたCDがグラミー賞にノミネートされたりとかで、これからますます注目されるマンドリニストでしょう。このとき彼が弾いたバッハにはいたく感動しました。
その後、すぐヴェネシアーナのコンサートがあるはずだったのですが、イタリア政府の文化予算カットなどの余波で音楽祭が丸々一つ無くなってしまうという信じ難い事態がおき、キャンセル。直前にそういうことが起こるんです、この国は。というわけで、急遽バカンスとなり、トスカーナのルッカで数日充電。
サン・ミケーレ教会。
フィレンツェにも少々。
しっかり充電を済ませ、その後、ヴェネシアーナとのオルフェオとポッペアの連続公演。
まずは、スペインのSantander。
Jueves 26 agosto, 21:00 | Sala Argenta
ORFEO, Claudio Monteverdi
(Versión semiescénica)
Orfeo - Marko Guadagnini
La Música y Euridice - Roberta Mameli
Silvia y Esperanza - Gloria Banditelli
Proserpina - Francesca Cassinari
Plutón - Raffaele Costantini
Caronte - Salvo Vitale
Apolo - Mauro Borgioni
Ninfa - Silvia Frigato
Pastor I - Makoto Sakurada
Pastor II - Giovanni Caccamo
Pastor II y Espíritu I - Paolo Antognetti
Pastor III - Claudio Cavina
Pastor IV y Espíritu II - Marco Bussi
Pastor y Espíritu III - Alessio Tosi
La Venexiana
Claudio Cavina, director
こんなお店も発見。
その後は、去年も訪れたフランス、Periqueux
Claudio Monteverdi
L'Incoronazione di Poppea (Le Couronnement de Poppée)
Opéra en un Prologue et 3 actes sur un livret de Francesco Businello
Ottone : Claudio Cavina
Poppée : Valentina Coladonato
Néron : Roberta Mameli
Arnalta : Ian Honayman
Octavie : Xania Meijer
Nourrice d'Octavie : Makoto Sakurada
Sénèque : Raffaele Costantini
Drusilla : Francesca Cassinari
Valetto : Alena Dantcheva
Damoiselle : Marina Bartoli
Lucain : Poalo Antognetti
La Venexiana
Direction Claudio Cavina
28 août 2010, Eglise Saint Etienne de la Cité, Périgueux.
爽やかな空でございました。
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